鳴海先生の奥さんは、5年前に心臓発作で倒れ鳴海先生の執刀で手術をしたが、
器械につながれコミュニケーションがとれなくなったままだ。
「これは、生きているのか?死んでいるのか?」
家族と思う人の手術をするなら、この事実を知っておけ。オペに絶対はない。
手術室で冷静さを失ったコトー先生を助けてくれたのも鳴海先生だった。
冷たい人だと思ってたよ。
息子は少し涙声で言った。
病院を去るコトー先生は、鳴海先生の問いかけに答えを出す。
「人として答えるならば鳴海先生が生きていると思っている限り、生きています。
そして、医師としてならば鳴海先生が治療を続ける限り、生きています。」
2人の医師の、悲しげで優しい笑顔が印象的だった。
オトナだ。
そうか、子どもはこんな姿にオトナを感じるのか。
鳴海先生の問いかけもコトー先生の答えも、犬育てにも子育てにも通じると思う。
様々な理由で、コミュニケーションがとれなくなったとする。
五体満足で動ければ「死」とは思わないが、
そうではなかった頃を知るものは、寂しさや不快感や違和感を感じるだろう。
まったくコミュニケーションがとれなくなったのではなく、
取りにくくなったと感じても、寂しさや不快感や違和感を感じて辛いだろう。
犬の問題行動・子どもの非行や不登校、夫婦の不和も入るのかもしれない。
親である人。
飼い主である人。
伴侶である人。
医師である人。
教師である人。
犬のトレーナーである人。
えとせとら・・・えとせとら・・・
コトー先生の答えを、一緒に心に刻みませんか?
ジブンが後悔しないために。オトナになるために。