ここに一冊の本がある。著者は中学校の教師だ。
私が一歳年下の彼と出会った夏、お互いに高校生だった。
そしてお互い、あるサマースクールでの子供たちの生活を見守るボランティアだった。
あの年は、たしかトータルで1週間か2週間その場所に泊り込んだように記憶している。
悪いけど、私には彼が学校が好きって優等生タイプには見えなかった。
ごく普通の、だけどこんな風に夏休みを過ごしてしまうぐらい子供と動物が好きで、
先輩たちに礼儀正しく、キチンとした言葉使いが印象的なんだけど、
無邪気でたわいないイタズラもする「年下の男の子グループ」の一人だった。
そんな彼が教師になったと聞いた時には、「体育」の先生かと思ったら
「社会科」の先生だと聞いて、正直ちょっと驚いたっけ。
彼は、自分ももっと知りたいと思っていた日本史教科書の「薄い部分」について、
生徒たちの疑問にもっとしっかり応えられるよう、とことん調べ続けた。
その授業と子供たちの感想が、こうして一冊の本になったのだが・・・
「右翼って言われちゃうんですが・・・」自分は右翼ではないと彼は言う。
(実際、彼は戦争には強く反対している。)
右・左の思想については、私にはよくわからない。
だけど・・・
日本人ほど日本人であることに誇りを持てないのは珍しいと聞いた。
外国から日本に来た人のほうが、日本の文化を知っていたりもする。
それはどうしてか考えたことがあるだろうか?
事実から考えるのは子供たちだ。結論を出すのも子供たちだ。
だから事実を伝えたい。未来を担う子供たちに、過去を知ってもらいたい。
彼のこの考え方には大いに賛成なので、この本をリビングに置こうと思う。
我が家のTVのない狭いリビングルームには、いろんな本がある方がいい。
「先生、日本のこと教えて―教科書が教えない社会科授業」